研究概要 |
渦流攪拌に超音波振動を応用することによるセラミックス粒子とAl合金溶湯間の濡れ性の改善と,アルミナイド生成に伴う発熱反応によって,Al_2O_3粒子のAl合金溶湯への複合化を促進し,ハイブリッド金属基複合材料(MMC)を創製することを目的とする.窒素雰囲気において,1023KのAl-5mass%Mg合金溶湯に予めNi粉末を混合したAl_2O_3粒子を添加し,超音波振動を溶湯に伝播しながら,攪拌速度16.7rpsで渦流攪拌を行った.ただし,超音波振動はセラミックス板によってAl合金溶湯に伝播させた.渦流攪拌への超音波振動の応用により,我々の提案した粒子移行モデルに基づいて計算すると,接触角が半減して本複合系は見かけ上濡れる系になる.また,超音波振動はAl合金溶湯中へのNi粉末の完全溶解をもたらし,溶湯温度を約160K上昇させる結果,温度上昇による濡れ性の改善効果がある.ニッケルアルミナイド生成に伴う発熱反応は,超音波振動によって著しく加速される.さらに渦流攪拌法において問題となるMMC中の気孔は,粒子の濡れ性が改善されるので,凝集状態のまま溶湯中に取込まれないため,殆ど消滅する.以上のように,超音波振動援用渦流攪拌によるニッケルアルミナイド生成発熱反応は,短時間で複合化される粒子を増加させ,気孔のない複合スラリー作製に寄与することが明らかにされた.
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