研究概要 |
1.表面に関する基礎研究 既に凝集した超微粒子のフロックは、粒子間に付着力が働いている。超臨界状態によりこのフロックを分散することを考えた場合、まず、この付着力がどのようなものであるかを解明することが必要である。購入した原子間力顕微鏡オプションにより,表面間力を測定することが可能となった。そこで原子間力顕微鏡を用いて、水溶液中における粒子-雲母板間の付着力を直接測定した。その結果、接触時間が長いと付着力が増加すること、共存するカチオンの水和エンタルピーの順序と付着力の大小が一致すること等がわかった。以上の結果より、以下の付着力に関するメカニズムが考えられた。 ・界面の吸着層が、固体表面の接触による時間とともに次第に破壊されることが推測される。 ・水和エンタルピーの小さなイオンは表面に直接吸着し硬い層を形成する。水和エンタルピーの大きなイオンはイオンの周りに水を持ったまま吸着するめ表面に弱い力で吸着し、時間とともに吸着層が破壊され、付着力が大きくなると考えられる。 2.超臨界装置による実験 超臨界状態を得るための装置を作成し水の臨界定数Pc=22.12MPa,Tc=647.30Kを越える超臨界水を得ることに成功した。この装置の中にシリカの凝集粒子懸濁液を流通させ超臨界状態にした後、常温、常圧に戻し得られる懸濁液を試料とし動的光散乱法による粒度分布を比較し、超臨界状態が凝集粒子の分散にどのような影響を及ぼすかを検討した。現在行っているシリカ凝集粒子の分散実験では超臨界状態による分散の特異性を見いだすことができていないが、今後他の諸条件で検討を続ける予定である。
|