研究概要 |
本研究では,太陽エネルギーの有効利用を目的として,高効率蓄熱装置の開発研究を行った.蓄熱体として用いた形状安定化ポリエチレンは,融解状態においても固体状態の形状が安定的に保持されるので,カプセル等に封入する必要がなく,熱媒体と直接接触伝熱が可能であり,安価で安全性が高いという特長を有する。 粒状の形状安定化ポリエチレンを充填した潜熱蓄熱槽について,実験および数値解析の両面から,蓄熱システムを設計する上で重要な放熱特性の究明を行った. まず,潜熱蓄熱槽内の蓄熱体と熱媒体間の熱伝達係数を,Schumannの拡張理論を援用することにより,実験的に求め,熱伝達係数の経験式を提出した.その結果,蓄熱体と熱媒体間の熱伝達係数の値は,従来提出されている経験式から予測される値に比べ,大幅に低下することを見いだした. 次に,その熱伝達係数の経験式を用いて,槽内温度分布および槽流出熱媒体温度の経時変化に関する数値解析を行った.槽流出熱媒体温度の経時変化に関する実験結果と数値解析結果は,形状安定化ポリエチレンの種類,操作条件にかかわりなく,極めて良好に一致した.
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