廃水中のフェノール類を分離するプロセスを考える時、トルエン及び超臨界二酸化炭素を用いる抽出が有効と考えられる。本研究は実験的、理論的研究を行ったものである。 先ず、フェノール+水+溶剤系の液液平衡を考える時、最も基本になる物性が2成分系溶解度とその温度依存性(4つのタイプ)であるが、いずれの場合も活量係数式であるSILS式中のエネルギーパラメータを温度の2次式で表すことにより精度良く相関出来ることを確かめた(日本大学理工学部研究所英文誌)。 次にフェノール水溶液の分離溶剤にトルエンが熱力学的に有効であるとした予備的な結果をさらに進めるために、フェノール+トルエン系の気液平衡測定を行った。測定データを基礎にして求めたSILS式パラメータを用いるとフェノール+水+トルエン系の3成分系液液平衡を精度良く推算できることを確かめた(化学工学論文集)。 また、フェノール+水+溶剤系のASOGによる液液平衡推算に必要な5種のグループCH2、OH、H2O、ArCH、ArOHに関するグループ対パラメータを気液平衡データより決定した。フェノール+水系に対する超臨界二酸化炭素の溶剤効果を状態式グループ寄与法で推算し、超臨界二酸化炭素が有効な溶剤えあることを確かめた(J.Chem.Eng.Japan)。
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