研究概要 |
この基礎研究においては,テンプレートを用いる酸化スズ上のシリカオーバーレイヤーの調製と分子ふるい機能,およびそのガスセンサーへの応用を目的とする研究を行った. はじめに分子ふるい機能をもつシリカ層を調製するための条件を決定した.ベンズアルデヒドを吸着させ,さらにシリカを科学蒸着するためには温度を適当に制御すれがよいことがわかった.このようにして酸化スズの表面に調製したシリカオーバーレイヤーが分子ふるい機能をもつ事が明らかになった.さらに,その選択制の温度依存性を詳しく調べた結果,高温になるほど分子径の違いによる吸着選択性が顕著に現れることがわかった. また,この技術を応用した選択性をもつ酸化スズセンサーの開発に関する研究を行った.センサー感度の選択性を得るためには,表面の半分程度がシリカで覆われた酸化スズがよく,このような適当なシリカ表面濃度をもつ酸化スズ試料を用いることにより,アルデヒド,アルコール,それに脂肪族および芳香族炭化水素などのセンサー感度がその分子径によってかわるようになることががわかった. さらにテンプレートをベンズアルデヒドからナフトアルデヒドへとさらに大きくすることによるふるい機能の変化を研究した.テンプレート分子が大きくなると,予想されたようにふるい機能はよりおおきな分子径で機能の差が現れることがわかった. また,この技術をアルミナ上のシリカ固体酸触媒の調製にも応用した.テンプレートをもちいて調整することによってシリカは孤立して表面に存在しており,クラスターをなすシリカに特有な固体酸を発現しないことがわかった.この技術を応用することにより,アルミナ表面上のシリカの構造を制御できることがわかった.
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