研究概要 |
半導体レーザーと細く長い光路長をもつフローセルを組み合わせることにより,フローインジェクション分析法(FIA)や高速液体クロマトグラフ法(HPLC)などのフロー分析装置全般に適した高感度なフロー分析用検出器を開発した。この高感度検出システムは,ポリテトラフロオルエチレン製円筒に細く,長い光路(内経1.4mm,長さ100mm)を設けたフロー吸収セルと,発光波長780nmのGaAIAs半導体レーザーを光源として構成され,あらゆるフロー検出系に適用可能な機能を有する。このようなレーザー分光検出システムを使用すれば,通常のFIA-吸光光度法は(10mmセル使用)に比べ10倍高感度となる。 既存のレーザー分光フロー分析法関連研究の経過を踏まえ,この検出器システムの適用例の一つとして,全リンのモリブデン青-吸光光度法への応用について検討した。相対標準偏差は1.0%(n=10,20μgP/l),検出限界濃度と検量線直線範囲はそれぞれ0.6(3σ)及び(1.0〜50)μgP/lであった。環境水試料測定への応用結果は,公定法とほぼ相関関係にあることがわかった。同様に,この高感度検出システムは各種水試料中の溶存状の超微量シリカ高感度分析にも適用例が示され,好結果が得られることを明らかにした。さらに,将来はHPLCを含んだフロー法分祈システム全般に広く応用研究され,実用面で有益な成果をもたらすことが期待される。
|