研究概要 |
産業からの廃ガスのエネルギーで賄える程度の温度及び圧力条件下で,安価な炭酸ガスの燃料物質及び工業原料への変換技術の開発を目的として、「触媒を用いたCO_2の光化学的及び光電気化学的変換」を行った。ポテンショスタット等の装置を用いてCO_2の電気化学的・光電気化学的・光化学的に還元する方法を開発した。還元効率の良い電解質,温度等の条件の検討,光源としてXeランプを用いた場合の還元効率の測定,電界光照射セル,効率の良い電極材料・形状の開発を行った。その結果は次の通りである。 ○メタノール-ベンザルコニウム電解液の場合,作用電極として,Ti,Fe,Co,Ni,Pt,Cu,Ag,Au,Zn,Snを検討した。それぞれの電極における炭酸ガスからの還元生成物は、Ti:水素,メタン,Fe:水素,メタン,Co:水素,メタン,Ni:水素,メタン,Pt:水素,Cu:メタン,エチレン,一酸化炭素,水素,Ag:一酸化炭素,水素,メタン,Au:一酸化炭素,水素,メタン,Zn:一酸化炭素,水素,メタン,Sn:一酸化炭素,水素,メタンであった。さらに,Cu電極を用いて極低温(-30℃)でCo_2の電気化学的還元を行った。最適条件下で42%の電流効率でメタンを生成した。このような低温下では競争反応である水素生成が8%以下に押さえられることがわかった。工業化を図るために、管状Cu電極を開発し研究を行なった。最適条件下で18%の電流効率でメタノール,蟻酸0.9%,メタン0.013%生成した。 ○光触媒として珪酸塩を懸濁させた電解溶液を用いる光照射電気化学的還元を検討した。銅電極を用いた場合、蟻酸,メタノール,メタン,エチレン,一酸化炭素,水素が生成した。特に蟻酸,メタノール,水素の生成に光触媒の効果が大きかった。 ○珪酸塩岩石(granite)に銅を担持した光触媒を開発し,光照射実験を行った。この光触媒(30メッシュ)を用いた室温での炭酸ガス還元実験の結果、蟻酸が生成する(28nmol/g, 10h照射)ことが分かった。最適担持銅の量は0.1-0.5g/g,最適光照射時間は10時間,最適温度は20℃以下であった。
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