研究概要 |
二酸化炭素の直接電解還元による有用化合物の合成は,二酸化炭素の資源化の観点から重要であり、その電極反応は大いに興味がある。本研究では、固体高分子電解質(SPE)と金属を接合させて、一体化した複合電極を用いて、二酸化炭素をガス状で直接電解還元するシステムを検討した。 SPE材料としてカチオン交換膜であるナフィオン膜とアニオン膜であるセレミオン膜を用い、それらの膜表面に、予め金を化学メッキし、さらにその表面にビスマスを電気メッキしたBi,Pt-ナフィオン電極、Bi,Au-セレミオン電極、およびビスマスを直接化学メッキしたBi-セレミオン電極を作製し、各電位における二酸化炭素の気相電解還元を検討した。その結果、Bi-セレミオン電極が最も高いギ酸生成の電流効率を与え、その最大電流効率84%、最大部分電流密度17mAcm^<-2>を示した。SEMによるSPE電極の表面解析を行った結果、電析したBiの粒径が小さい程、高いギ酸の生成電流効率と部分電流密度を与える事が分かった。さらに、Bi-セレミオン電極を用い、対極室の電解液の種類の影響を検討した。0.5MK_2SO_4、0.5MKHCO_3と飽和KHCO_3水溶液では、0.5MKHCO_3を用いた場合、最も高いギ酸生成の電流効率と部分電流密度が得られる事が分かった。 他方、ルテニウムをメッキしたRu,Pt-ナフィオン電極やRu,Au-ナフィオン電極を作製し、同様に二酸化炭素の気相電解還元を検討したが、期待したメタノールは得られず、電解電流はほとんど水素発生に費やされた。
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