研究概要 |
光学活性p-フルオロヘキサヒドロシラジフェニドール(p-F-HHSiD)の合成方法について検討し以下の成果を得た。 1.メントールとp-F-HHSiD前駆体のジアステレオマ-は結晶化しなかったが、コレステロールとp-F-HHSiD前駆体のジアステレオマ-は結晶化することがわかった。そこで、このジアステレオマ-をペンタン溶媒を用いて再結晶して光学的にほぼ純粋なジアステレオマ-を得ることができた。光学分割の条件を最適化し、分割効率を2%から25%に向上することができた。その結果、高い光学純度を有する(+)-p-F-HHSiDは比較的容易に供給可能となった。 2.こうして得たジアステレオマ-をLiAlH4で還元して光学活性なヒドロシラン誘導体(|α|435+11.2(c1.3,CH2Cl2))に導いた。さらに、このヒドロシラン誘導体に水酸化カリウムを作用させて目的の(+)-p-FHHSiD(|α|435+30.2(c1.0,CH2Cl2))を得ることができた。 3.反対の対嘗体(-)-p-FHHSiDの調製は光学分割によっては達成することは出来なかった。一方、p-F-HHSiDのヨウ化メチル塩誘導体を再結晶することによって光学純度が向上することが分かった。そこで、(+)-P-FHHSiDを反転させた後ヨウ化メチル塩に誘導しそれを再結晶することによって(-)-p-F-HHSiDのヨウ化メチル塩を得られることが分かった。しかし、現在のところ光学的に純水な(-)-p-F-HHSiDのヨウ化メチル塩を得るには至っていない。 4.問題点 抗ムスカリン作用について検討するためには(+)および(-)の両対掌体が必要である。しかし、今回分割剤として用いたコレステロールは天然物であることから片方の対掌体しか利用できないため、この方法では(-)-p-F-HHSiDを得ることはできない。そこで、現在、両対掌体が利用可能な合成分割剤について検討中である。
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