研究概要 |
1.新規物質である2'-位に2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ基を有するポーダンド型1,1'-ビナフタレン-2-オール誘導体1を1,1'-ビ-2-ナフトールと2-(2-クロロエトキシ)エタノールとのモノエーテル化反応により合成した。又、2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エトキシ基を有する誘導体2を1の四臭化炭素-トリフェニルホスフィンを用いるブロム化と続くジメチルアミンとのアミノ化反応より高収率で合成した。 2.1のナトリウム塩は、シクロアルカノン-2-カルボン酸ベンズヒドリルエステルとメチルビニルケトンとのマイケル反応の不斉触媒として機能し、塩化メチレン中10mol%の触媒量で0℃という穏和な条件下においてほぼ定量的に50%e.e.程度の不斉収率で生成物を与えることが分かった。一方、より低い温度ではむしろ不斉収率は低下し、再現性も低下した。 これに対して、2のナトリウム塩はメチルビニルケトンとのマイケル反応の不斉触媒として機能し、10mol%の触媒量でほぼ定量的に生成物を与え、0℃で50%e.e.、-78℃において65%e.e.前後の不斉収率が得られることが分かった。 3.次に、検討した中で最も高い選択性を与えた2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ基を有する誘導体3のナトリウム塩を触媒に用いてエチルビニルケトン、アクロレイン、メチレンマロン酸ジt-ブチルエステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリルとの反応を検討した。その結果、アクリル酸エステル、アクリロニトリル以外は-78℃において定量的に反応し最高73%e.e.の不斉収率が得られることが分かった。
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