研究概要 |
イネからのMutatorトランスポゼ-ス(TNP)相同配列をクローニングした.この配列の近傍領域はイネにおいて散在反復配列として存在している.この配列は単子葉に広く存在しており,単子葉植物の系統分化と関連している.さらに,幼苗及び成葉においては日本型イネには転写が認められ,その活性を保持していることが推測された.イネにおける易突然変異生との関連を明らかにするために,北海道の易突然変異系統である赤毛後代では赤毛からのげを消失した坊主をはじめとして,大黒(d-1),夷(d-2)などを自然突然変異として偶発的に生み出した.赤毛の自殖後代では花粉などの混入がない条件でTNP領域のプローブでRFLPsを検出した.今後,日本型の北海道系統における相同配列をクローニングすることで突然変異遺伝子と密に連鎖するRFLPsが得られることが期待される.日本型だけでなく,特定のインド型品種と日本型品種を交配した交雑後代においても易突然変異系統が観察された.この系統でのRFLPはF_2分離としてのみ観察されており,多型を検出した2バンドは独立に分離し,アイソザイム遺伝子などともどくりつであった.今後,primaryトリソミック系統による座乗染色体の決定から集団内で分離を示す相同領域の座乗染色体の変異を期待できる.Acc435系統では自殖維持でTNP領域に対する多型が見られており今後の解析は同DNA領域の転移を証明する可能性が高い.以上の結果から,単子葉で広く維持されているトランスポゼ-ス対応領域はイネクローンにおいてその近傍に末端反復配列様の配列を有しており,易突然変異系統での多型性も観察されていることからイネで活性を有するトランスポゾンとしてゲノム中に存在している可能性が示唆された.
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