研究課題/領域番号 |
07660177
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部附属演習林, 助教授 (20187230)
|
研究分担者 |
野村 睦 北海道大学, 農学部附属演習林, 助手 (20271629)
笹 賀一郎 北海道大学, 農学部附属演習林, 教授 (70125318)
藤原 滉一郎 山形大学, 農学部, 教授 (00001503)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 融雪水 / 科学組成 / 渓流水 / アシッド・ショック / 森林流域 / 森林機能 / 寒冷積雪地 / 中緯度地帯 / 融雪期 / 化学組成 / 酸性融雪水 / 酸性雪 / 選択的溶出 / 水資源 |
研究概要 |
わが国の寒冷積雪地帯の森林において、酸性融雪水の発生状況や河川水質への影響を調査するため、北海道北部の森林流域において一連の観測をおこなった。成果は以下のとおりである。 1.北海道北部の山地流域における積雪の科学的性質は、標高よりも植生の影響を受けていた。すなわち、周囲に樹木のほとんどない裸地の積雪は酸性化していたのに対し、森林内の積雪では酸性化の程度が小さいばかりか含まれているイオン量も多かった。このことは、森林が積雪の酸性化に対して緩衝力を持つとともに、乾性降下物を捕捉する効果も持っていることを示している。 2.春の融雪期の融雪水pHは融雪開始直後に4以下まで低下し、以後急激に上昇した。一方、イオン濃度は融雪開始から終了まで穏やかに低下していった。春の融雪で溶出したH^+の約70%は最初の約20%の融雪水中に含まれており、明瞭なフラクショネーションが認められ、融雪直後に積雪からの酸の放出が活発化することが明らかとなった。 3.融雪水に酸の濃縮が認められたにもかかわらず、新第三紀層や蛇紋岩流域における融雪期の河川水には明瞭なpH低下は認められなかった。その理由としては、融雪水が地下深層を浸透すること(新第三紀層)や河川水自体のpHが高くHCO_3^-によるpH緩衝能が高いことが考えられた。また、流域の森林が積雪のpH低下を抑えている可能性も推定された。 4.融雪期の森林流域における物質収支の結果より、Ca^<2+>、Mg^<2+>、HCO_3^-の流出量については積雪からの供給量をうわまわっており、流域内から生物地球科学的過程により正味排出されたと考えられた。HCO_3^-は流域内の地中における生物呼吸に由来していると考えられ、融雪期以降の流域内における主要なプロトンソースである。
|