研究概要 |
建築物の外装材や外構材が緑色〜暗緑色になるという現象がある。これらの汚染原因の多くは藻類の発生によるものであり,住宅外装の高級化に伴い大きな問題となってきている。木質系材料についても、エクステリアなどへの分野への利用の拡大によって、無視できない劣化現象となっている。 この研究では,まず、藻類汚染の評価方法を確立するために,短時間で評価しうる促進屋外暴露試験方法の開発を行った。その結果、栄養分としてリン酸水素アンモニウムを添加した水を霧状に散水した促進屋外暴露試験における発生状況や発生藻類の種類が,建築物ならびに外装材料の藻類汚染の調査結果で判明した発生状況などと,よく一致しており,かつ3〜5ヶ月間で試料の藻類汚染に対する評価が可能になった。 また、屋内培養実験法を検討した結果,栄養分供給の外に,材料自体の含水率を高める操作が必要であり藻類培養液と栄養液の散布ならびに光照射を伴う高湿度容器中での培養が適切であることが明らかとなった この屋外暴露試験方法を用いて,外装材料の藻類汚染評価を行った結果,材質のいかんにかかわらず吸水しやすい材料ほど藻類汚染が起こりやすい傾向を示した。 木材および木質系材料では、樹種により藻類の発生時期や程度が異なった。また、加熱処理や今回用いた防腐剤の加圧注入処理や難燃処理は木材の藻類汚染に対する抑制効果は認められず、なかにはかえって促進させるものがあった。樹脂含浸処理やアセチル化処理もあまり効果が認められなかった。さらに、インサイジング処理を施したものでは、最初に傷跡周辺から藻類が発生する状況が観察された。塗装による抑制効果は、造膜タイプの効果が大きく、浸透タイプの効果が小さかった。
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