研究概要 |
(1)ランダムな資源変動下で長期間の平均漁獲量を最大化するにはCESがよいことが提示されている。変動が周期性をもったり時系列的に相関をもつ場合は,解析が不十分で不明な点が多い。不明である。様々な年変動下でのいくつかの漁獲方針が資源保護と漁獲量増加に及ぼす効果を試算し,最適な管理システムを模索する。 (2)資源変動を引き起こす要因として,(ア)親魚1尾あたり産卵量あるいは密度依存的死亡が起こる前の稚仔の生残率の変動,(イ)生残率の密度依存性の強さの変動,(ウ)密度依存的死亡が起こった後の稚仔の生残率の変動,の3つを考える。それぞれの場合について「変動が小さい場合についての線型近似による解析」と「変動が大きい場合も含めての数値実験」の2つを実施する。再生産関係については,Beverton-Holt式とRicker式の2つについて検討した。 (3)資源変動や管理システム,放流計画のための情報を得るには調査研究のコストが必要で,規制実施にもコストが伴う。また「最適システム」の近傍には,大きく劣らない「適当システム」が多数あると予想される。本研究の課題では,利用できる情報や調節できる要素が限定されていることが管理の効果に及ぼす影響にも注目した。 (4)資源変動を導入したシミュレーションの結果,漁獲率一定方策の%SPRであるF_<35‰>が妥当であることが判明した。資源管理と種苗放流に関連して,繁殖価による相互比較を数魚種について実施した。
|