研究概要 |
1.本研究の対象地域として松本盆地および伊那谷(広域調査)ならびに信州大学西駒演習林(細密調査)を選定し,そこでの地形資料,水文気象等,土地利用実態等の基礎資料の収集を行うと共に,とくに山間域での気象観測を行った. 2.信州大学山岳気象観測網(SUMIDA)での現地観測データ,AMeDAS観測点の資料から,主に山間域における地形と気象条件の変動について検討を行った.とくに,気温減率,気温逆転等の分析から,気温環境に及ぼす地形的な影響に関するいくつかの興味ある知見を得た. 3.近年,情報ネットワーク化の中で,数多く設置が見られる地域農業気象観測局の実態を調査し,現状,今後の課題等を考察した.このようなオンライン気象情報を生態資源管理に効果的に活用する方法として,温度変換日数理論による果樹開花の予測法を検討し,実用化の可能性を示唆した. 4.地形,土地利用,ならびに気象条件を中心とした地域データベースの作成,整備を進めた.これらの種々の地域属性間の分析を研究対象全域で実施するには至らず,今後の重要な課題として残された. 5.地域の生態資源の評価に際して,生態環境,土地利用,生産力という概念,相互の関係性の検討から,地域固有な自然立地条件にもとづく潜在生産力評価の重要性を指摘した. 6.以上から,地域の生態資源評価に関わる基礎的な資料と考察を中心として,成果報告書をとりまとめた.
|