研究概要 |
研究実施計画に従って,以下のように本年度の研究結果を総括する。 昨年来,プロトタイプのトラクタエンジンに対して,H_∞制御器の実装を試みているが,結局ハンチングの危険性が残り,断念せざるを得なかった。燃料噴射系は非常に高精度にできており,今後メーカーとの研究協力により研究を継続していきたい。 従って,本年度はロバスト安定かつ低感度条件を同時に満足する安定化制御器を求めるために,混合感度問題としてH_∞制御問題を解いた。この際,感度関数の重み関数を1次遅れ系、相補感度関数の重み関数は2次の多項式とし,各々の係数を各種変化させ,望ましいガバナ特性をもつH_∞制御器を求めてみた。この結果,入力した重み関数のパラメータの値によっては既存のメカニカルガバナよりも外乱に弱いH_∞制御器となるパラメータの組み合わせもあり,外乱からのステップ応答をとると,エンジンストールを引き起こす例もあった。今回は試行錯誤的にこれらの入力パラメータの値を入力して,目標値と外乱からの単位ステップ応答をとり,望ましい特性を有する制御器を選択したが,今後はできれば必然的な選定方法を確立することが望まれる。 なお,得られたH_∞制御器をぜひ実際のエンジン制御系に適用し,過酷な条件下で使用されるトラクター作業機系の安定化を図っていきたいと考えている。
|