研究概要 |
本研究の目的は豚体表面における対流伝熱係数を豚体形状に基づいて算定するために,豚のサーフイスモデルを用いて体表面の自然・強制対流伝熱係数を数値計算から求めることである.剥製豚(生体重27,65,88kg)の3次元形状測定から,三角形パッチで構成した3次元多面体コンピュータグラフィックスモデルすなわちサーフィスモデルを作製した.サーフィスモデル豚は,豚体表面対流伝熱係数計算における境界条件として供した. サーフィスモデル豚の体表面における空気(非圧縮・粘性流体と仮定)の流れおよび熱の流れは連続の式,運動方程式,エネルギ式からなる基礎方程式で記述できる.さらに,乱流解析においてはこれらの基礎方程式に乱流エネルギの散逸を記述する乱流モデルが連成される.3次元解析に先立ち,マイクロコンピュータを使用しての2次元解析を検討した.有限要素法において3角形1次要素が適用できるように,基礎方程式における圧力項は最新の数値解析技法である流線一渦度法により消去した.次いで基礎方程式を無次元化し,無次元基礎方程式をガラーキン法を用いた有限要素法で離散化し,空気と熱の流れを計算するプログラムを作成した. 層流域におけるサーフィスモデル豚体表面周囲の無次元速度分布と無次元温度分布を,強制対流解析においてはレイノルズ数を,自然対流解析においてはグラスホフ数を,さらには強制対流と自然対流が共存する混合対流においてはレイノルズ数とグラスホフ数をそれぞれパラメータとして,計算した.計算された無次元温度分布から豚体表面における対流伝熱係数を算定中である.乱流域における自然・強制対流の解析は現在検討中である. 以上の数値解析結果から,層流域および乱流域における豚体表面の対流伝熱係数が体表面形状に基づいて解明できるものと期待できる.また,2次元解析終了後は大型計算機を使用しての3次元解析を予定している.
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