研究概要 |
REMAK腸神経には酵素組織化学的にNADPHd陽性線維はあるが、その陽性細胞は殆ど見られない。哺乳類では腸管の神経叢にNO合成酵素の存在が示されている。一方NADPHdの酵素組織化学的反応は、NOSの免疫反応とほぼ同じものを検出するとされている。そこでこのNADPHdの組織化学的反応を利用して、鶏の腸管の神経支配機構を解明するために、(1)REMAK腸神経と腸管壁の筋層間並びに粘膜下両神経叢におけるNADPHd陽性細胞とその線維及び各種ペプチド免疫陽性細胞とその分布を観察し、(2)トレーサーとしてコレラトキシンBサブユニツトを腸管壁に注入し、REMAK腸神経において標識された細胞の分布様式を明らかにした。 NADPHd陽性線維は小腸輪走筋層内層では完全な輪状構造を示したが、その外層及び大腸の輪走筋層では不連続な輪状構造を示した。NADPHd陽性細胞は小腸・大腸共に腸管壁の両神経叢で少数認められたに過ぎない。しかも大腸の筋層間神経叢には、多くの神経ペプチド抗体に免疫陽性を示す細胞は全く認められず、大腸の筋層間神経叢にどのような神経節細胞が局在するのかは不明のままである。小腸・大腸共にその粘膜下神経叢にはVIP,SP,GAL,SOM四種のペプチド陽性神経節細胞が存在し、小腸の筋層間神経叢にはSP,GAL,SOM三種類の細胞の局在が判明した。トレーサーにより標識された約3500の腸神経大腸部の神経節細胞のうち、40%は直腸の吻側部に、24%が直腸の尾側部に、17%は回腸に、そして10%が盲腸に上行性投射をしていた。二重標識法で見るとCTbとmENK含有細胞はCTb標識細胞の1/3に相当し、直腸尾側部に分布していた。残る2/3はTH含有神経節細胞であった。
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