研究課題/領域番号 |
07660418
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
甲斐 知恵子 東京大学, 農学部, 助教授 (10167330)
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研究分担者 |
遠矢 幸伸 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (30021702)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 犬ジステンパー / CDV / 流行 / ELISA / 中和 / 抗原変異 / 遺伝子変異 |
研究概要 |
本研究では犬と野生動物とに流行しているジステンパーウイルス(CDV)について、その流行状況を把握し、流行ウイルスの性状を解析し、起源や原因を探究することを目的として研究を行ない、以下の成果を得た。 1)犬ジステンパーの流行状況を把握するために酵素抗体法(ELISA)を改良し、簡便な方法を確立した。これを用いて、動物病院に来院した犬の保存血清を検索したところ、1989年から犬ジステンパー罹患例数が増加していることが明らかになった。2)本ELISA法を従来の中和抗体測定法と比較して用いると、ワクチン接種犬の血清では、両測定法での抗体価に高い相関が認められたが、現在の野外発症犬の血清での抗体価の相関は低く、抗原性の変異が推測された。3)東京地区での近年のジステンパーと診断された検体は、臨床的に従来型と神経型との2つの型に分類されることが示された。4)さらに、細胞傷害性を示しにくいウイルスなどの抗原性状を検索するため、抗原検索用のサンドイッチELISA法を確立した。また本法を中和抗体検索用にも応用できるように改良した。この方法を用いて、最近分離された野外ウイルス株と従来の実験室継代株とをウイルス抗原として、野外ウイルス感染血清とワクチン株免疫血清との交差中和反応性を比較検討した結果、互いの交差反応性が低いことが明らかになった。この結果、中和抗原エピトープに変異のあることが示唆された。5)分離ウイルスについて、一部遺伝子解析を行なったところH遺伝子に変異が認められた。 以上のことから、近年流行を起こしている犬ジステンパーの状況が把握でき、また流行CDVには従来の株と異なる性状を有し、その抗原性および遺伝子に変異があることが強く示唆された。今後その変異部位と中和に関与する部分の解析が重要であると考えられた。
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