研究概要 |
本研究において、次の事柄が明らかになった。 1.妊孕率に対する抗体の影響を調べる為、体外受精法を応用したスクリーニング法を確立した。その結果、次のことが明らかになった。 (1)MC101抗体(IgGl)について 1)体外受精および体内受精のいずれにおいても、強力に受精を阻害する。 2)受精阻害率は濃度依存性である。 (2)MN7抗体(IgGl)について 1)MC101抗体ほど典型的ではないが、受精を阻害する。 これらの結果について論文執筆を計画している。 2.先体反応過程におけるMN5,7,9抗原,MC41抗原、MC101抗原の放出について (1)MN7抗原とMC41抗原について 先体から放出される過程に違いがあることを免疫電顕法で明らかにし、論文として掲載された。 (2)MC101抗原の放出について 先体反応過程において精子細胞膜と先体外膜で形成されるハイブリッド膜に近接して挙動することが判明した(論文執筆中)。抗原の性状については論文掲載された(Mol.Rerprod.Dev.,42:72-79,1995) 3.先体の形成過程における余剰抗原の運命について 精子遊離直前に、組織化された余剰な内容物がトリミングを受けるため、tubulobulbar complexと呼ばれる特殊な構造物を介してセルトリ細胞内に取り込まれる可能性が免疫電顕法で示唆された。今春の解剖学会で発表する。 4.MC101抗原の遺伝子クローニングについては、今年度はまだ実施できなかったが、計画を進めている段階である。 抗原の精製とアミノ酸配列については、T21とMC101について行ったが、成功しなかった。
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