研究課題/領域番号 |
07670065
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
有田 秀穂 東邦大学, 医学部, 助教授 (20075576)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 視床下部外側野 / 気管平滑筋 / 情動 / 非コリン非アンドレナリン作動性 / 喘息 / ネコ |
研究概要 |
本研究にて、次の諸点が明らかになった。 1 麻酔、自発呼吸下のネコで、視床下部外側野に電気刺激(6-90μA、1ms矩形波、50Hz、5-10秒)および化学刺激(グルタメート、30-50nM)を与えると、気管拡張反応が誘発され、同時に、血圧低下と徐脈が観察された。 2 刺激の有効部位を組織学的に詳細に検討した結果、当該部位は、視床下部腹内側核および脳弓の外側、視索の背外側、内包の内側に限局する部位であった。なお、グルタメートによって反応が誘発されたことから、同部位の細胞体(通過線維ではない)が興奮した効果であると判定された。 3 視床下部外側野から気管平滑筋への下行路を、伝達物質の面から更に検討を加えた結果、非コリン非アンドレナリン作動性神経系の関与が明らかとなった。その根拠は、この反応が、βブロッカーの静注で影響されないこと、ムスカリン遮断薬の静注後にも依然として存続することが上げられる。なお、アトロピン投与によって、気管の緊張はゼロレベルに近ずくので、セロトニンの点滴静注にて、気管の緊張を高く維持すると、刺激による気管拡張反応を増強させることが出来た。 4 このような、非コリン非アンドレナリン作動性の気管拡張反応は、迷走神経切断にて完全に消失した。以上の結果から、気管平滑筋の調節には二つの異なる神経経路が存在すると結論された。一つは、通常のコリン作動性迷走神経系であり、この興奮は気管を収縮させ、種々の呼吸性変動によって影響を受ける。もう一つは、非コリン非アンドレナリン作動性で、情動性反応などで賦活化され、通常の生理的状態では働かない系である。 5 この視床下部からの非コリン非アドレナリン性神経系が種々の要因で機能しない場合に、気管の異常な収縮、すなわち喘息の病態が発生する可能性が今回の研究から推定された。
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