研究概要 |
内向き整流Kチャネルは種々の細胞に存在し,静止膜電位の保持,活動電位持続時間の調整,細胞の興奮性の調節などに機能していると考えられている。我々はマウス・マクロファージ由来の細胞からcDNAクローニングされた内向き整流Kチャネル(IRK1)をCOS1細胞にトランスフェクトする実験系を用いて以下の結果を得た。 1.IRK1のcDNAをCOS1細胞に導入すると心筋内向き整流Kチャネルと同様のコンダクタンスを持つKチャネル活性が発現できた。2、このチャネルの外向き電流は細胞内Mgによってブロックされ,またμMレベルの細胞内Mg存在下で単一電流の1/3と2/3の大きさのサブレベルが出現する。3、IRK1のH5領域にある138番目のグルタミン酸をグルタミンに変換したmutant(E138Q)はKチャネル活性を発現しなかった。しかしながら,wild typeとE138Qを直列に連結した2量体cDNAをCOS1細胞に導入した場合には通常よりコンダクタンスの小さいKチャネル活性が出現した。H5領域の138番目のグルタミン酸はコンダクタンスに関係していると思われる。4、部位指定突然変異法を用い,IRK1が直列に連結された2,3,4,5,6,7,8量体cDNAを作製し,それぞれをCOS1細胞に導入した。その結果2〜8量体全ての場合にKチャネル活性が発現した。 さらにIRK1の236番目のIleからC末端まで(193アミノ酸残基)をglutathione S-transferaseと融合させたfusion-geneを作製し,大腸菌に融合蛋白質を作製させた。SDS-PAGEで分析したところ分子量約5万の融合蛋白質が検出された。現在,この蛋白質を大量精製し家兎に免疫している。
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