研究課題/領域番号 |
07670089
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境生理学(含体力医学・栄養生理学)
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
高瀬 幸子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (10046196)
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研究分担者 |
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (70195923)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
600千円 (直接経費: 600千円)
1996年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 細胞性レチノール結合たん白質タイプII / mRNA / レチノイドXレセプター(RXR) / ペルオキシゾーム増殖因子活性化レセプター(PPAR) / Caco-2細胞 / レシチン:レチノールアシル転移酵素 / レチノイドXレセプター(RxR) / β-カロテン |
研究概要 |
1.小腸CRBP(II)遺伝子発現の転写調節因子となる脂肪酸の探索および核内因子(RXRとPPAR)遺伝子発現に及ぼす脂肪酸の影響を解明した。ラットへ胃内投与した不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、αリノレン酸)は投与量に依存してCRBP(II)mRNAを増大した。核内因子のレチノイドレセプターと脂肪酸代謝関連遺伝子の核内レセプター(RXRとPPAR)の遺伝子発現量は、それら投与では変動しなかった。故に、脂肪酸由来のリガンド増加がRXR-PPARのダイマー形成を促進しCRBP(II)遺伝子発現を高める可能性が示唆された。 2.ヒト結腸由来細胞株(Caco-2)のin vitro実験系におけるCRBP(II)遺伝子発現の脂肪酸や脂肪酸酸化促進薬物(クロフィブリン酸)による誘導を明らかにした。脂肪酸(リノール酸、アラキドン酸とそのアナログのeicosatetraynoic acid(ETYA)と脂肪酸酸化促進薬物(クロフィブリン酸)は、CRBP(II)遺伝子発現を増大した。ETYAと9-cisレチノイン酸はCRBP(II)mRNA発現に相乗効果を示した。Caco-2に発現していたRXRやPPAR量はETYAと9-cisレチノイン酸に応答せず変動しなかった。 3.脂肪酸によるCRBP(II)遺伝子の5'上流プロモーター領域(RXREとRE3)への核内タンパク質結合量の増大とその遺伝子発現との関連をin vivo実験系により解明した。CRBP(II)遺伝子の5'上流のプロモーター領域(RXREとRE3)とラット空腸の核抽出物を反応させゲルシフトassayした。RXREとRE3に核タンパク質が特異的に結合(RXRα抗体による消失)し、その結合量は高脂肪食摂取ラットで増大した。高脂肪食摂取ラットでは、CRBP(II)遺伝子のプロモーター領域にRXRを含む核内レセプターの複合体おそらくRXR-PPARのヘテロダイマーの結合量増大を介するCRBP(II)遺伝子発現の促進が示唆された。 4.Caco-2細胞における転写調節因子(脂肪酸など)によるCRBP(II)遺伝子のRXREとRE3への核内タンパク質結合量の増大とその遺伝子発現との関連を明らかにした。アラキドン酸のアナログのeicosatetraynoic acid(ETYA)やアラキドン酸は、Caco-2細胞のCRBP(II)mRNA量を増大し、その増大はActinomycin D処理により抑制された。ゲルシフトassayによりETYA処理細胞のRXREとRE3の応答領域にRXR-PPARヘテロダイマーの結合量の増大が示唆された。 5.β-カロテン過剰摂取のラット空腸CRBP(II)量と非エステル型レチノール量との比率を調べた。ラット空腸のCRBP(II)量はβ-カロテン過剰摂取により増加せず、β-カロテンのレチノールへの転換はCRBP(II)の結合能以下のレベルに抑制されていた。エステル型レチノールとCRBP(II)に対するモル比は1000倍過剰投与でも「1」を越えず、大部分のβ-カロテンが小腸に蓄積し血中へ放出された。β-カロテン過剰摂取の安全性をCRBP(II)とfreeレチノールとのモル比の観点から初めて証明された。
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