研究課題/領域番号 |
07670111
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大池 正宏 九州大学, 医学部, 講師 (70271103)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 血管内皮細胞 / カルシウム / 機械刺激感受性 / パッチクランプ / クロライド電流 / アラキドン酸 |
研究概要 |
ヒト臍帯静脈内皮細胞を用いて、機械刺激が細胞内に伝達されて細胞内のカルシウム濃度上昇に至るメカニズムを検討した。細胞を無カルシウム溶液中で低張液にさらした場合、細胞内カルシウム濃度は徐々に上昇した。このカルシウム濃度上昇は一過性で、細胞内貯蔵部位よりの放出によるものと思われた。このカルシウム放出はIP_3、シクロオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼを阻害しても抑制されず、フォスフォリパーゼA_2阻害剤によってのみ抑制されたため、アラキドン酸がその伝達物質と思われた。このカルシウム放出は、静水圧による剪断力やパッチピペットによる膜の直径伸展でも見られ、この細胞では機械刺激全般に共通の現象と思われる。また、このカルシウム放出はファロイジンによって阻害され、アクチンの代謝回転が機械刺激の受容メカニズムに関与していると考えられた。さらに、通常のカルシウム濃度を含む溶液を細胞外液として用いた場合、低張液刺激によって細胞内カルシウム濃度は持続的な上昇を示した。これは低張液の灌流によってカルシウムが放出された後に、カルシウム放出後のカルシウム流入メカニズムが活性化されたこといによるものと思われる。また、カルシウム濃度とともにパッチクランプ法によって膜電流を同時に測定したところ、低張液によって-40mVの保持電位で内向きの電流が測定された。これは細胞内カルシウム濃度上昇とは無関係で、また、イオン透過性の検討より容量依存性クロライト電流であることが判明した。この電流は深い膜電位を維持することに寄与し、カルシウム放出後のカルシウム流入経路に十分な駆動力を与えるものと思われる。以上のような一連の細胞内の機械刺激受容体メカニズムによって、細胞内カルシウム濃度が上昇し、血管内皮細胞の機能発現に関与しているものと考えられた。
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