研究概要 |
本研究は単年度申請であっるが、我々がこれまでに構造を明かにしてきた多様なラットグロビン遺伝子群におけるLCR及び近位プロモーター領域の構造ならびに発現調節さようについて諸種の解析を行い、以下の成果を得た。 1.PCR法を用いて、ラットβ-グロビン遺伝子群の5′-上流約4.2kb及び6.0kbにLCR Site 1(HS-1)及びsite2(HS-2)の存在を確定し、それぞれの塩基配列を決定した。両siteはいずれもヒトおよびマウス遺伝子の対応領域と高いhomologyを示し、この領域が進化上良く保存されていた。また諸種の重要なelementがいずれも存在し、機能的にもactiveであることが示唆された。 一方、グロビン遺伝子5′-末端よりの距離が上記の2種属に比して短く、むしろ鳥類に近似していたが、その理由は不明である。 ^<II>β、^<III>β、及び^Oβ遺伝子の5′上流約1-4kbまでの塩基配列を決定し、この領域について諸種のdeletion mutantを作成、CAT assayによって転写活性の測定を行った。その結果、 (1)3種のグロビン発現の量的相違は基本的に-120bp近傍までに存在するbasic promoter (TATA,CCAAT,CACCC,β-DRE)に依存すること、またこの活性はtissue-independent(MEL,K562,HeLa)であることが明らかになった。 (2)さらに上流-250bpまでについて同様にCAT assayによる解析を行ったところ、^<II>β、^<III>β、及び^Oβ遺伝子のいずれにも共通の配列を有するrepressor elementが見いだされた。また、gel shift assayの結果から、これらには同一の転写因子が作用することが示唆された。 (3)さらに上流1kb付近には、^<II>β遺伝子に特異的なPu/Pyのrepeat sequenceが存在し上記の近位プロモーターに対しnegative作用を有することが明かとなった。
|