研究課題/領域番号 |
07670193
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
湯本 典夫 千葉大学, 医学部, 助手 (40203658)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 免疫グロブリン重鎖遺伝子 / CDR3領域 / 悪性リンパ腫 / MALTリンパ腫 / BALTリンパ腫 / Hericobacter pylori / vacuolating cytotoxingene / 塩基配列 |
研究概要 |
本研究では、EBウイルスやHelicobacter pylori(H.Pylori)などの関与が示唆される胃Bリンパ腫、自己免疫疾患に随伴することが良く知られている肺および甲状腺Bリンパ腫の免疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子CDR3領域の塩基配列の決定により、リンパ腫における特異抗原と腫瘍化のメカニズム及び腫瘍の組織発生を明らかにすることを目的とする。そこで今回、胃、肺、甲状腺におけるB細胞リンパ腫の腫瘍クローンのCDR3の塩基配列の検索を行った。また胃リンパ腫ではH.pyloriのvacuolating cytotoxin(vac A)遺伝子の発現をPCRを用いた検出法を開発し、検索した。 結果:1.胃リンパ腫では6例のMALTリンパ腫、3例のびまん性大細胞型リンパ腫を検索した。9例の腫瘍クローンのCDR3の塩基配列は3例がN配列の挿入の少ない胎児型のリンパ球の特性を示した。CDR3の相同性を検索した結果、7例が自己抗原反応性リンパ球と相同性を示した。このうち4例はG6を含むリュウマチ因子に関連したリンパ球クローンであった。9例中1例の腫瘍クローンはCD5陽性のEBVでtransformしたBリンパ球と相同性を認めた。残りの1例は胎児の肝臓由来のリンパ球と相同性を認めた。MALTリンパ腫とH.pyloriの関与については、9例中3例にvacA遺伝子の発現を認め、うち1例は低悪性度MALTリンパ腫であった。これに関しては今後症例を追加して検討する。2.肺リンパ腫では8例の低悪性度MALTリンパ腫の腫瘍クローンのCDR3の塩基配列を検索した。3例がN配列の挿入の少ない胎児型のリンパ球の特性を示した。相同性検索では5例の腫瘍クローンが胎児の肝臓および臍帯血由来のリンパ球と相同性を示した。さらにこのうち2例はG6陽性リンパ球と相同性が高かった。3.甲状腺リンパ腫では9例のBリンパ腫のCDR3の解析を行っているが、現在まで3例のリンパ腫は自己抗原反応性のクローンの腫瘍化であった。今後さらに検索を進める。 以上より、胃、肺、甲状腺リンパ腫の組織発生をIgH遺伝子CDR3領域の解析から検討すると、MALTリンパ腫ではBリンパ球の分化の比較的早期において、内在抗原に反応するクローンの腫瘍化が起こる可能性が示唆された。
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