研究概要 |
7/8年度の報告 H6年度にひきつづき、免疫ビーズ法によるラット骨髄巨核球の精製分離・培養および巨核球、前血小板産生(Proplatelet Process Formation,PPF)の電顕観察を行った。 1)PPFバイオアッセイ法によるトロンボポエチン(TPO)活性の検定:a)IL-6,EpoのPPF活性の増幅効果が確認されているブタ血管内皮細胞(PEC)株を使って巨核球との共生培養を有血清下で行ったところ、IL-6,Epoと同様にTPOに対しても著しいPPF活性の増幅効果が、1pg/ml〜10ng/mlまで幅広い濃度範囲にわたって認められた。b)PPFに対する各種造血因子の相乗効果については、これまでIL-6とEpoの間に低濃度においてPPFに対する相乗効果があることを認めた(Path Inter Vo1.46,968-976,1996)が、今回、TPOとIL-6,TPOとEpoの間にはPPFに対する相乗効果は認められなかった。c)ラットIL-3では、IL-3とEpoの間でPPFを促進させる“相乗効果"を認めたが、IL-3とTPO,IL-3とIL-6の間には認められなかった。 間質細胞および血管内皮細胞と巨核球の共生培養におけるPPFの“促進効果"の機序については、Mycoplasma感染の問題などで、予定した実験計画を消化していない。 PPFの電子顕微鏡による観察では、TPO,IL-6,Epoの各刺激因子間で巨核球の微細形態とPPFの構造上の質的差異は認められなかった。分離膜形成の量的差異はありそうである。PPFの形成過程で分離膜が解離することにより、細胞質が糸状にほぐれるものと考えられるが、培養では分離膜の発達が不完全なことが糸状のPPFになる原因かと推測される。
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