研究課題/領域番号 |
07670245
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻村 亨 大阪大学, 医学部・附属病院, 助手 (20227408)
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研究分担者 |
北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
岡部 勝 大阪大学, 微生物研究所感染動物実験施設, 助教授 (30089875)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | KITレセプターチロシンキナーゼ / 機能獲得性突然変異 / マスト細胞腫 / トランスジェニックマウス / レトロウイルスベクター / 突然変異 / 活性化 / マスト細胞 |
研究概要 |
c-kitレセプター・チロシンキナーゼ(KIT)には機能獲得性突然変異(キナーゼ領域のアルパラギン酸をバリン或いはチロシンへ置換する点突然変異)が見出されている。インターロイキン3 (IL-3)に依存して増殖する培養マスト細胞株IC-2はマスト細胞としての多くの表現型を保つがKITを発現していない。IC-2細胞にアルパラギン酸をバリンへ置換した変異c-kit遺伝子(活性型c-kit遺伝子)をレトロウイルス発現系を用いて導入すると、導入細胞はIL-3やKITのリガンドであるstem cell factor (SCF)を含まない培地でも活発に増殖するようになりヌードマウスに移植すると腫瘍を形成した後白血病化した。また、正常マウスの骨髄細胞に活性型c-kit遺伝子を含むレトロウイルスを感染させると、感染骨髄細胞から造血因子がなくてもメチルセルロースを含む培地で顆粒球マクロファージコロニーばかりでなくマスト細胞コロニーや混合コロニーが出現し、感染骨髄細胞をマウスに移植すると白血病が発症した。主要組織適合抗原クラスIのプロモーターで発現制御される活性型c-kit遺伝子を導入したトランスジェニックマウスでは白血病やリンパ腫が発症した。更に、自律性に増殖する培養マスト細胞腫株FMA3ではKITにアルパラギン酸を他のアミノ酸へ置換する変異を認めなかったが傍細胞膜領域に7個のアミノ酸欠失を認め、この欠失のためにKITがSCFの結合なしに構成的に二量体を形成し活性化することがわかった。この欠失型KITをコードするc-kit遺伝子をレトロウイルス発現系を用いてIL-3依存性IC-2細胞へ導入すると、導入細胞は自律性に増殖するようになりヌードマウスに移植すると腫瘍を形成した後白血病化した。本研究により突然変異により構成的に活性化するKITは生物学的活性をもつことが明らかとなり、活性型KITはマスト細胞の腫瘍化に直接的に関与すると考えられる。
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