研究課題/領域番号 |
07670291
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山崎 浩 順天堂大学, 医学部, 講師 (00138207)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 肝蛭 / システインプロテアーゼ / カテプシンL / 遺伝子構造 / 組換えプロカテプシンL / 酵素活性発現 / プロセッシング / カテプシンL遺伝子 / PCR / TATAbox |
研究概要 |
肝蛭カテブシンLの遺伝子発現機構や細胞内プロセッシング機構を解明する目的で肝蛭カテブシンLゲノム遺伝子の構造を解析するとともに、大腸菌で発現した組換え不活性型カテブシンL前駆体を用いて活性型カテブシンLへの活性(成熟)化の分子機構について解析した。 (1) 肝蛭カテブシンL前駆体の遺伝子構造:PCRによって2種類の肝蛭カテブシンL前駆体遺伝子が増幅され、サイズは1.8と1.9Kbであり、そのコード配列は4つのエキソン(I-IV)と3つのイントロンから構成されていた。エキソンIはカテブシンL前駆体のブレ部、ブロ部、成熟酵素の一部をコードし、触媒活性を担うCys-27はエキソンIIに、His-164とAsn-184はエキソンIVに含まれていた。両者の大きな違いは第3イントロンのサイズとその塩基配列に認められた。さらに肝蛭成虫ゲノムDNAライブラリーのクローニングによって得られた肝蛭カテブシンL前駆体遺伝子構造、ならびにジェノミックサザンブロットの結果から、肝蛭カテブシンL遺伝子は縦列反復(tandemly repeated)ではないが、multiple genesとして存在しており、肝蛭の発育段階別に異なる遺伝子が特異的に発現している可能性が示唆された。 (2) 肝蛭カテブシンL前駆体の大腸菌における発現と活性型カテブシンLへの変換機構:肝蛭カテブシンL前駆体(以下、プロカテブシンL)cDNA、ならびにプロペプチド部を欠損させたカテブシンLcDNAをpGEX-4T-Iに挿入した組換えプラスミドを含む大腸菌の形質転換体を得た。IPTG添加によって発現した組換えプロカテブシンL、ならびにカテブシンL融合タンパクは不溶性であったため、尿素で可溶化し、さらに立体構造の再構築(refolding)を行った。得られた組換えプロカテブシンL、ならびにカテブシンLを用いて活性型への変換機構を解析した結果、不活性型プロカテブシンLは弱酸性条件下(pH4.5-5.5)で活性型カテブシンLに変換し、この変換はカテブシンLの阻害剤であるE-64添加によって完全に抑制されたことから、活性型カテブシンLへの変換はpH依存的自己触媒的機構によることが示された。しかしながら、プロペプチド部を欠損させたカテブシンLの場合には酵素活性が認められず、このことは酵素活性を有する機能的カテブシンLのfoldingにプロペプチド部が必須なものであることを示唆している。 今後、緑色蛍光タンパクを肝蛭カテブシンL前駆体に融合させ、肝蛭カテブシンL前駆体の細胞内輸送のプロセスをリアルタイムに観察し、活性化が行われる細胞内オルガネラはどこなのか、あるいは最終局在部位である分泌顆粒へはどのようなシグナルによって選別輸送されるのかという点を明らかにしていきたい。
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