研究概要 |
1.患者由来 A 群溶血レンサ球菌34株,C群28株,D群30株についてNAD分解酵素の産生能を検討したところ,A群,その中でも特定のT血清型(T-1,T-3,T-4,T-12)の菌株の本酵素産生能が高いことが明らかになった. 2.A群溶血レンサ球菌(streptococcus pyogenes)C2556の24時間培養上清からNAD分解酵素の精製を行った。酵素活性の指標としてマイクロタイタ-プレート蛍光法を用いた.80%硫安塩析、およびイオン交換(CM SepharoseCL-6B)、ゲルろ過(Sephacryl S-200HR)、ヒドロキシアパタイト(Gigapite)クロマトグラフィーによって精製した。収量は4.2%,精製率は1490倍であった. 3.本酵素について、酵素学的・物理化学的性状を検討した. 1)分子量:SDS-PAGEにて50,000 2)Specific activity(NAD分解活性):890μmol/min/mg 3)Km 値:200μM 4)至適pH:7.4 4.精製した酵素を用いてさらに詳細な解析を行い、本酵素がサイクリックADPリボース合成活性および分解活性を有していることを明らかにした。本研究により,これまで真核生物でのみ見つかっていたサイクリックADPリボース代謝酵素が原核生物においても存在することが初めて明らかになった.
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