研究課題/領域番号 |
07670331
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
櫻井 純 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80029800)
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研究分担者 |
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (90170315)
越智 定幸 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (80268705)
永浜 政博 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (40164462)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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キーワード | ウエルシュ菌 / α毒素 / ホスフォリパーゼC / ホスフォリパーゼD / GTP-結合タンパク質 / 特異的部位変異法 / 亜鉛タンパク質 / 溶血機構 |
研究概要 |
ウエルシュ菌α毒素は、溶血、壊死、さらには、酵素活性としてホスフォリパーゼC(PLC)活性を有するユニークなタンパク毒素で、ガス壊疽の原因毒素と考えられている。そこで、本感染症に対するα毒素の役割を解明するため、第一に本毒素のウサギ赤血球溶血機構、そして、第二に本毒素の構造と機能に焦点を当て検討してきた。既に、我々は、この溶血作用には、毒素による血球膜内因性PLCそしてホスフォリパーゼD(PLD)の活性化機構が密接に関与していることを明らかにしているので、本研究においては、まず、毒素による両酵素の活性化機構を検討した。α毒素のPLC活性によって血球膜ホスファチジルコリンが一部分解、その刺激によって三量体Gタンパク質を介して内因性PLCが急激に活性化、さらに、この時生成するジアシルグリセロールによるプロテインキナーゼC活性の上昇を経て、さらに、内因性PLDが細胞質に存在する低分子Gタンパク質によって活性化される機構を明らかにした。次に、α毒素の構造を機構と解明については、本毒素が有する種々の活性とアミノ酸残基の関係を検討した。α毒素と同じPLCファミリーであるセレウス菌PLCの結晶解析のデータから、毒素遺伝子の部位特異変異法にて、活性に重要と考えられる68と130位のAspと152位のGluをGly、 Asn、 Gln、 Asp、 あるいは、Gluに置換後、それぞれの変異毒素を単離し、その生物活性、分子中の亜鉛の個数、血球結合、酵素活性を測定した。得られたデータを解析した結果、68位のAspは、いずれの残基に置換しても活性の回復は認められず、この残基は、酵素活性に必須であることが判明した。130位のAspは、他の残基に置換すると、活性の消失と構造変化が認められるので、セレウス菌PLCにおいて、この残基が分子内の2個の金属イオンのブリッジ形成に働いている知見と考え合わせると構造維持に重要なアミノ酸残基と考えられる。152位のGluは、Aspに置換したときのみ、活性が認められること、亜鉛の個数が1個減少すること、血球への結合は変化しないことから、本残基のカルボキシ基は、活性に必須の亜鉛のリガンドとして働いていると考えられる。
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