研究課題/領域番号 |
07670335
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中村 正孝 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 教授 (30180392)
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研究分担者 |
菅村 和夫 東北大学, 医学部, 教授 (20117360)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | HTLV-I / Tax / ATL / IL-2受容体 / コモンγ鎖 / トランスアクチベーション |
研究概要 |
HTLV-I Taxは細胞側の種々の遺伝子の発現に影響を与え、T細胞を腫瘍化すると考えられている。その作用は、Taxが細胞側の複数の転写因子に結合し、転写を活性化するために起こる。我々は、Taxが転写因子以外に機能の不明なRNA結合分子に直接結合することを見い出し、その遺伝子のクローニングを進めている。また、ATL細胞に構成的に発現するようになるIL-2受容体のサブユニットのうち、我々がクローニングしたサイトカイン受容体コモンγ鎖の発現へのTaxの影響を検討した。γ鎖はほぼすべての血球細胞で発現している。活性化T細胞にIL-2を作用させると一過性にγ鎖の発現は低下し、この現像は転写レベルで起こることを明らかにした。この機構は、免疫反応のため活性化してT細胞を休止状態に戻すのに関与しているのかもしれない。しかし、HTLV-I感染細胞では、IL-2を作用させてもγ鎖の低下はみられない。これは、Taxによりγ鎖の発現が転写レベルで増強され、IL-2による低下分を補っているためであることを証明した。従って、HTLV-I感染細胞での機能的な高親和性IL-2受容体の恒常的な発現は、Taxによるα鎖の発現誘導ばかりでなく、γ鎖遺伝子の転写促進によっても支えられていることになる。γ鎖遺伝子プロモーター領域を単離して、種々のプロモーター欠失変異体で調べたところ、Taxの作用は、転写開始点を+1として、-58から+35の塩基配列の中にあり、この中にはHTLV-I Taxの既知の標的配列は含まれていない。従って、今までに知られていない新たなTaxによる転写促進機構に依っているのかもしれない。
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