研究概要 |
白血病発生に関与する癌遺伝子の検索 白血病細胞ゲノムに組み込まれたプロウイルスがプロト癌遺伝子の活性に働いていると考えられるので、プロウイルスのcommon integration siteをクローニングすることによって活性化された癌遺伝子を検索した。約200匹のBALB/cマウスに変異ウイルス(MLA MMTV)を感染させ既に84例のT細胞白血病検体を得た。これらの白血病細胞ゲノム中には通常5〜10コピーの変異ウイルスの組み込みがあるが、84例中10例では組み込みプロウイルスは2から3コピーである。この10例では、比較的少ない数のウイルス挿入により効率よく癌遺伝子をヒットしたものと考えられる。この10例の検体につきinverse PCR法を用いて組み込みウイルス隣接の細胞側DNAを多数クローニングし、その内からunique scquenceのみを含むもの(4個)を選別した。得られたプロウイルス挿入部位特異的なゲノム断片をprobeとして他の白血病細胞DNAにプロウイルス挿入によるrearrangeがあるか否かを検討した結果、それぞれのprobeを得た細胞のDNAではrearrangementが確認されたが、common siteではなかった。さらに、マウス白血病イウルスによる白血病発生に関与している既知の癌遺伝子N-myc, C-myc, lck, mlvi-1 mlvi-4, abl, Pim-1, Spi-1および癌抑制遺伝子p53,Rb近傍へのMMTV変異株の組み込みを検索したが、現在までのところこれらの遺伝子の近傍へのプロウイルス組み込みは認められていない。
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