研究概要 |
本研究では、IL-2受容体から誘導される細胞内情報伝達のカスケードを明らかにするために、機能的なIL-2受容体の必須なサブユニットβ鎖とγ鎖に会合するLckチロシンキナーゼ、Sykチロシンキナーゼ、Jak1、Jak3チロシンキナーゼ等の下流に位置するシグナル伝達分子の同定を行った。先ず、IL-2刺激後速やかにチロシンリン酸化される蛋白分子(pp64,pp70,pp74,pp90,pp110)を同定した。次に、これら分子を抗チロシンリン酸化抗体に免疫沈降し、二次元電気泳動ゲルにて精製し、その部分アミノ酸配列を決定した。アミノ酸配列を基にpp110のcDNAをクローニングした。その結果、pp110はHGFによってチロシンリン酸化される分子として同定された分子(Hrs)と同一であることが分かった。Hrs/pp110はZink finger ドメインを有しているが、その機能に関してはまだ不明である。本研究から、IL-2とHGFという異なった増殖因子の刺激によってHrs/pp110のチロシンリン酸化が生じることが分かった。Hrs/pp110の発現は種々の細胞株ならびに組織にみられた。Hrs/pp110チロシンリン酸化はIL-2刺激後5分以内にみられ、IL-2による細胞増殖刺激とよく相関した。
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