研究概要 |
IL-6により活性化される遺伝子群(junBや肝における急性期蛋白遺伝子群)の転写活性化までの伝達路は、JAKキナーゼと未知のH7感受性キナーゼおよびSTAT3を必須の構成要素としている。STAT3が、junBプロモーター上のIL-6応答領域に作用する際には、CRE類似部位結合性36kDa分子とともに複合体(JRE-IL BC)を形成することが重要であることを見い出した(Oncogene 1996)。またIL-6刺激によりSTAT3のC末チロシンリン酸化部位近傍にセリンリン酸化がおこることを見いだした。このリン酸化をもたらすH7-感受性キナーゼはMAPキナーゼとは異なるという知見を得た(未発表)。成長因子受容体細胞外ドメインとIL-6受容体分子gp130のキメラ分子を種々作製し、IL-6によりマクロファージに分化する細胞株M1に導入した。gp130のSTAT3活性化能と増殖停止、マクロファージへの分化、c-myb,c-myc発現抑制、junB発現誘導などのIL-6応答とが密接に関係することを見い出した(EMBOJ,1996)。優性抑制型STAT3を用いた実験から、これらSTAT3の役割を確認した。さらに、STAT3活性化が抑制された条件下では、IL-6刺激によりG1期が短くなることから、M1細胞においてもIL-6の増殖シグナルが生成されていること、STAT3がこの増殖シグナルを負に制御していると考えた(投稿中)。
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