研究概要 |
1)CD2-Igキメラ分子の他にCD48-Ig,CD58-Iggキメラ分子を作製し、CD2,CD48,CD58遺伝子導入細胞に対する結合性を検討した結果、CD2/CD58,CD2/CD48といった従来報告のあった結合経路以外には結合が認められなかった。しかしながら、CD48と相同性のある分子としてNK細胞上に発現している2B4分子とCD2との結合が示唆されており、現在CD2-Igキメラ分子を用いてその結合の有無を詳細に検討中である。またCD2とLy9との結合は認められなかった。 2)T細胞上のCD48分子を抗体、キメラ分子で刺激することによって、T細胞の活性化反応が認められた。このCD48の刺激によって細胞内シグナル伝達分子のリン酸化が認められ、さらにIL-2受容体の発現誘導、サイトカインの産生等が引き起こされることが判明した。現在、如何なる分子がシグナルを伝達しているかを検討中であるが、免疫沈降とウェスタンブロットによりCD48の下流ではp56^<lck>が会合していることが認められた。 3)NK,LAK細胞上でのCD48の機能について解析した結果、CD48を刺激することによってキラー細胞からの脱顆粒反応が促進することが判明した。このCD48を介した活性化反応はキラー細胞の誘導時のみならず、活性発現時でも認められた。この脱顆粒反応の促進効果は抗CD3抗体とほぼ同程度の活性が認められることから、CD48がキラー細胞の分化・増殖に強く関わっていることを示唆するものであり、今後抗腫瘍キラー細胞の誘導にCD48リガンドを用いた遺伝子治療法の開発が期待される。
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