研究概要 |
老年期に健康で活動的で自立した、質(QOL)の高い生活を送るための条件を解明する追跡研究を開始した。本研究はそのベースライン調査である。対象は愛媛県温泉郡重信町に在住する60〜84歳の全高齢者4,304名である。うち、当該研究期間中に1,957名(45.5%)に対する訪問面接調査を終了した。なお、1997年夏季までに全対象者をカバーする予定である。 1.1,957名中アンケートを直接本人より聴取しえたのが1,358名(69.4%)、家族などより間接的に聴取できたのが163名(8.3%)で、計1,521名から情報を得た(回収率は77.7%)。 2.高齢者のADLを日常の行動範囲、移動度、老研式活動能力指標で評価した。行動範囲や移動度は、男では75歳以降、女では70歳以降で有意な低下があり、男と比べ女の移動度が劣っていた。老研式活動能力指標の平均得点は男女とも年齢とともに減少し、80歳以降で大きく低下していた。 3.QOLは主観的健康感、自覚症状、老人用うつスケール(GDS)および生活満足度尺度K(LSIK)で評価した。いづれの指標も年齢差あるいは性差を認めた。GDSの平均点は年齢とともに上昇し、男に比べ女が高い。LSIKは男では年齢差はあまりないが、女では年齢が上がるにつれ低下し、70歳以降では顕著な性差を認めた。 4.現在、これらADLとQOLに関連する要因について、高齢者の生活状況、身体的、精神的な健康状態、生活習慣、保健行動などの視点から分析を進めている。 5.ベースライン調査が完了次第、対象者の名簿を作成するなどし、追跡のための体制を整備していきたいと考えている。
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