研究概要 |
従来ApoE遺伝子型の判別にはPCR-RFLP法が汎用されてきた.しかしPFLP法でε4/3のheteroを認識する場合に判別に苦慮することがあり、PCR後に塩基配列解析を行った場合も遺伝子多型を決定する部位のhomoまたはheteroの判別がしにくかった.この判別を容易にするため新たにε4、ε2検出用のprimerを作成してPCRを行い、その後RFLP法および塩基配列解析を行った.その結果従来汎用されているPCR primerでは塩基配列解析でheteroの場合、peakが1対1とならなかったが、新たなPCR primerを用いるとpeakは1対1となり、RFLPでもbandは均一化した.従って従来のPCR primerよりも正確にε4/3などのheteroの判別が可能となった. この新しいPCR primerを用いて京都府北部久美浜町における一般地域住民でのアポリポ蛋白E4(ApoE4)の再検討を行った。対象は一般地域住民198名、地域の特別養護老人ホーム21名、計219名(血管性痴呆14名、アルツハイマー型痴呆(SDAT)22名、痴呆を認めなかった者(正常者)183名)である。ApoE2/2 2/3 3/3 2/4 3/4 4/4の頻度は正常者群で1.1,5.5,75.4,1.1,16.4,0.5%、SDAT群で0,0,77.2,4.5,18.2,0%で、ε4対立遺伝子の出現頻度は正常者群で9.3%、SDAT群で11.4%であった。SDAT群でApoE4NO頻度が正常者群に比べてやや高い傾向を認めたが、統計学的に有意ではなかった。正常者群でのApoEε4の出現頻度は本邦のこれまでの報告よりやや高いが、地域による明らかな頻度差とはいえなかった。
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