研究概要 |
[研究目的]呼吸機能からみた気道アレルギーの高感受性者のスクリーニング法が確立されておらず、開発したFV波形解析法(RAT-FEV1% diagram)により、免疫アレルギーを主体とする気道アレルギー高感受性者のスクリーニング法を確立する。 [研究経過]平成7年度には、二次肺機能検査受診及び血清総IgEの測定者(150名)のうち解析可能な非喫煙者(16名)及び喫煙者(46名)に対して、RAT-FEV1% diagramと血清総IgE値による検討を行った。また、緑黄野菜摂取と両者の関係についても検討した。その結果、RAT-FEV1% diagramのbiological lineと血清総IgE値の間に関連が認められた。また、緑黄野菜の摂取量がRAT-FEV1% diagram上の軌跡に影響することが示唆された。平成8年度には、一次肺機能検査と血清総IgE値測定を行った35才以上の男性705名(A-line 421名,B-line 284名)を対象として喫煙別・指導区分別・biological line別(A-,B-line)に検討を行った。その結果、非喫煙者では、指導区分A-BではA-,B-lineいずれも、血清総IgE値≦100IU/mlの群では61.4-69.6%であったが、指導区分C-Dで血清総IgE値≦100IU/mlの群は,A-line54.3%にたいし,B-line40.0%、61.4-69.6%であった。喫煙者のB-lineでは、血清総IgE値≧100IU/mlの割合が増加する蛍光であった。平成9年度には、FV波形解析有効であった35才-59才の男子従業員1177名(非喫煙者442名、喫煙者735名)を解析対象として、喫煙週間の有無別にRAT-FEV1% diagramのbiological lines(A-,SA-,B-,SB-,R-line)と、血清総IgE値、喫煙習慣との関係に付いて検討した。その結果、非喫煙者のA-,SA-lineでは、IgE<100の割合は63.3%,58.8%に対して、B-,SB-lineでは、34.2%,34.5%と低率であり、A-,SA-lineとB-,SB-lineでは分布の割合が異なっていた(x^2=28.21)。喫煙者の血清総IgE<100の割合をみると、A-,SA-lineでは48.5%,61.5%であるが、B-,SB-lineではそれぞれ28.3%,25.7%と低率であった。逆に、血清総IgE≧100の割合はA-,SA-lineで51.5%,38.5%、に対してB-,SB-lineでは71.7%,74.3%と増加していた(x^2=45.44)。RAT-FEV1% diagramのbio-logical lineと血清総IgE値との関係をみると、中高年非喫煙者のA-,SA-lineとB-,SB-lineでは、血清総IgE<100血清総IgE≧100の比率が異なり、喫煙者ではB-,SB-lineの血清総IgE≧100の比率が増加している。したがってFV波形解析により気道アレルギーを主体とする高感受性者の一次スクリーニング評価法として意義がある。
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