研究概要 |
職業的に発癌性物質多環芳香族炭化水素(PAH)の高濃度曝露を受ている集団を対象に,横断面の分子疫学研究を行った。内部曝露量の指標として尿中1-ヒドロキシピレン量,生物学的影響量の指標としてPAH-DNA付加体量,影響の指標として前臨床的遺伝子変化と考えられる血清p53蛋白量,感受性要因としてPAH代謝酵素遺伝子多型の測定を行い,外部曝露量と各バイオマーカーとの量-影響関係,量-反応関係を検討した。各バイオマーカーがPAHなどの環境発癌物質の分子疫学研究に応用可能かどうかについては未だ検討の余地があるが,従来の個人曝露濃度などの指標と併用することによって発癌リスクを評価する指標となりえることが示唆された。本研究で採用した各バイオマーカーの有効性をさらに明確にし,また,新しいバイオマーカーの有効性を検討するために,本研究の母集団について追跡調査を行っている。 なお,採用した各バイオマーカーの妥当性の検討等に関する研究の一部も,本科学研究費補助金により行った。
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