1)X及びY染色体の様々な遺伝子部位に対するプライマーの有用性を比較検討する目的で、DXZ-1、DYZ-1、DYZ-3、PAB Amelogenineをそれぞれ増幅するプライマーを作製し、PCR法にて性別判定と個人識別を行なった。実験的に作製した血痕と長期間常温で保存された白骨を試料として、(1)経時的変化、(2)量的問題について検討した。結果、1ゲノム中のコピー数が多くかつ、増幅領域が短い部位での判定が最も効率がよかった。 2)日本人200人、ドイツ人177人から採取した血液をサンプルとして、X染色体上のマイクロサテライト(HUMARA (AGC)、HUMARA (GGC)、HPRT)と、Y染色体上のマイクロサテライト(DYS389、DYS385、YCA1、YCA2-3、DYS391、DYS288、DYS392、DYS393、DYS384)の遺伝子頻度を明らかにした。 3)実験的に作製した精液斑と実際の性犯罪の混合試料を試料として、ABO式血液型判定ならびにY染色体上のマイクロサテライトを用いて被疑者の同定を試みた。結果、被害者と混合した試料からでも正確な型判定と個人識別が可能となった。
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