研究課題/領域番号 |
07670521
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
滝沢 始 東京大学, 医学部(病), 助手 (80171578)
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研究分担者 |
庄司 俊輔 東京大学, 医学部(病), 助手 (10171018)
大利 隆行 東京大学, 医学部(病), 医員
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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キーワード | 気道上皮細胞 / サイトカイン / 気管支喘息 / 好酸球 |
研究概要 |
1.正常および患者から得られた気道上皮細胞のサイトカイン発現:正常および軽症気管支喘息患者から気管支フアイバースコープ下にブラシにより気管支上皮細胞を回収して、その培養とリバーストランスクリプション・ポリメラーゼ反応(RT-PCR)によるサイトカインの遺伝子発現を検討した。その結果、IL-8,GM-CSFの産生と遺伝子発現が喘息患者においてより増強していることが認められた。そして、喘息症例で治療前後で検査可能だった例では明らかにサイトカインの遺伝子発現や産生が抑制された。NOの産生も喘息由来の気道上皮細胞でより認められた。 2.気道上皮細胞の各種炎症性細胞への活性:リンパ球、肥満細胞、および好酸球への遊走活性をボイデン法により検討した。ヒト気管支上皮細胞の培養上清中にはこれらの炎症性細胞への遊走活性が存在し、かつその活性は喘息由来の上皮からのほうが強かった。現在その活性物質の解析中である。さらに上皮培養上清中には好酸球のプライミング効果や寿命延長効果があること、そしてその活性も喘息由来の上皮で亢進していることが確かめられた。 3.次に、ヒト気管支上皮細胞と好酸球との接着の制御について検討した。好酸球側では血小板活性化因子(PAF)が、上皮側ではTNFαやインターフエロンγがそれぞれ接着増強因子として作用した。好酸球からのECPやIL-8の産生は接着により亢進した。 4.さらに、好酸球の培養上清には気道上皮からのサイトカイン産生刺激活性が認められた。 5.以上の好酸球の接着や上皮と好酸球の活性化はステロイド(デキサメタゾン)、エリスロマイシンなどの喘息治療薬により抑制された。このように、喘息の気道炎症病態で重要な炎症性細胞と気道上皮は相互に緊密なサイトカインネットワークを形成していることが明らかとなった。この連鎖を断ち切ることが喘息のよりよい治療につながるものと考えられた。
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