研究概要 |
私は、サブトラクション法やdifferential display法を用いて、HTLV-I感染細胞で発現が増強する遺伝子を単離し、いくつかの新しい遺伝子(SFA-1,-2)の解析やHTLV-Iの感染およびATL細胞の接着等に新しい知見を得て報告してきた。 1.SFA-1(CD151)の解析 1.6kbのmRNA,253個のアミノ酸からなり、構造はCD9等のTransmembrane 4 superfamily(TM4SF)に属し、VI thlntemational Leucocyte Differentiation Antigen Workshop(1996)にてCD151と命名された。その後の研究で、SFA-1/PETA-3(CD151)はATL細胞でα5β1integrinとcomplexを形成していることが判明し、この抗体は、ATL細胞のフィブロネクチンへの結合を阻害し、RGDとともに用いると数倍フィブロネクチンへの結合を阻害した。また、CD151は、白血病型よりリンパ腫型のATL細胞に発現が強くみられ、リンパ腫形成との関連が示唆された。 2.SFA-2の解析 0.9kbのmRNA,125個のアミノ酸からなり、成熟リンパ球で発現が特異的で、またATL細胞でも発現が増強するbZIP転写因子で、c-junとheterodimerを形成する。c-fosのrepressorとして働く。c-Jun/SFA-2のtargetgenesの一つは、CuZn-superoxidedismutaseであり、ATL細胞の病態と関連する。(投稿準備中) 3.感染に影響を与える因子の解析 ストレス蛋白の一つであるCalreticulinはHTLV-I感染にて発現が増強し、過剰発現した細胞はHTLV-I感染を増強させ、これはα integrinを介することが明らかとなった。また、私どもが単離したクローン8-46は4回膜貫通型でマウスのレトロウイルスレセプターと一部homologyがありHTLV-Iのレセプターの可能性があり、現在、transformantを作成し、検討している。
|