研究課題/領域番号 |
07670537
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
蓑田 清次 自治医科大学, 医学部, 助教授 (30211593)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 血管炎 / 好中球 / 抗好中球細胞質抗体 / ミエロペルオキシダーゼ / ANCA / MPO |
研究概要 |
抗好中球細胞質抗体(ANCA)は、ある種の血管炎において診断的意義が非常に高いことが知られているが、この抗体が病気をどのように形成しているかについてはなお不明である。この点にアプローチするためにまずANCAの対応抗原の一つであるミエロペルオキシダーゼ(MPO)のどのエピトープにANCAが反応しているかを調べた。ANCAのMPOの三次構造を認識していることにより、エピトープの解析にイムノブロットを用いることができないため、モノクローナル抗体のと相互抑制試験により行った。その結果、ANCAにはMPOの活性を抑制するものといしないものが存在することが判明した。そして臨床経過との対比から、MPOの活性を抑制する抗体を持つ患者の予後は比較的良いことが示唆された。次に同一患者血清中で経時的にMPO抗原量、ANCAの抗体量、およびペルオキシダーゼ活性量を検討したところ、病気の活動を最もよく反映していたものはペルオキシダーゼ活性量であった。特に肺出血により死亡した患者2例では肺出血の発症時に急速にMPO活性量の上昇を認め、ANCAの抗体量はむしろ鏡像関係を示すように低下した。これらの事実はANCAの抗体量は病勢を反映しないことがあり、同時に活性量を測定することが重要であることを示している。血管炎により死亡した患者の病変部位である肺と腎臓をMPOに対するモノクローム抗体で染色したところ、病変部位に明らかなMPOの局在を認めた。以上のことは病変形成にMPOが深く関係しており、ANCAはMPOの活性を抑制することにより、時としてむしろ防御的に働く可能性を考えさせるものである。一般的な考え方、すなわち、ANCAは好中球からMPOを遊離させることにより血管炎を悪化させると言う考えとは、幾分異なるものであり、今後も更に検討する必要があると思われる。
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