研究概要 |
M.furfurの粗抗原をIgE-immunoblotで分析すると、多数のアレルゲン成分が検出される。今年度はその中で、分子量が20,000付近の成分の分析を実施した。 2種類のM.furfurアレルゲン,MF1,MF2の精製とその性質 M.furfur TIMM2782株の菌体破砕抽出液の硫安50-〜90%飽和で沈殿する画分(P2)を出発原料として、陰イオン交換クロマトグラフィ、ゲル濾過クロマトグラフィ、メタルキレートクロマトグラフィを組み合わせることによってMF1MF2と名付けた2種類のアレルゲンを単離した。 MF1,MF2のSDS-PAGEにおける分子量は、還元条件下ではそれぞれ21,000、20,000非還元条件下ではいずれも40,000であり、両者はいずれもS-S結合を介したホモダイマーであると推定された。また、等電点はMF1が4.7、MF2が4.8であった。MF1のN末端アミノ酸配列は28残基まで明らかになったが、既知タンパク質の配列との相同性は見い出されなかった。一方、MF2のN末端アミノ酸配列は分析不能で、N末端がブロックされているものと考えられた。 MF1,MF2のアレルゲン活性 MF1,MF2のアレルゲン活性は、RASTによるIgE抗体の測定、および末梢血白血球からのヒスタミン遊離試験によって調べた。RASTにおいては、M.furfur粗抗原に対するIgE抗体が陽性(>0.7PRU/ml)の30例のアレルギー患者のうち、MF1に陽性は20例(66.7%)、MF2に陽性は19例(63.3%)であった。一方、ヒスタミン遊離試験は22例の患者で実施した。遊離曲線に用量依存性があり、かつ最大遊離率が20%以上を示した例を陽性とすると、P2画分に対して陽性の14例のうち、MF1に対しては8例(57.1%)、MF2に対しては7例(50%)が陽性であった。 まとめ M.furfur菌体破砕抽出液から分子量が約40,000の2種類のアレルゲン、MF1,MF2を単離、精製した。RAST、ヒスタミン遊離試験の結果から、両者はともにM.furfurの主要なアレルゲンであると考えられた。
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