研究課題/領域番号 |
07670555
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 元康 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (30159678)
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研究分担者 |
山田 真司 東北大学, 医学部・附属病院, 医員
真野 浩 東北大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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キーワード | 胆管炎 / フォルミルペプチド / マクロファージ / 好中球 / 分子生物学 |
研究概要 |
腸炎に合併する原発性硬化性胆管炎のモデルであるfMLT投与後の胆管炎の発生機序を分子生物学的に検討した。fMLT投与後胆管周囲にマクロファージ、好中球、リンパ球が浸潤する。培養胆管細胞を用いて、マクロファージが産生するTNF-αの影響を調べたところ、TNF-αは胆管細胞に細胞障害性を示さず、経上皮電気抵抗が可逆的に低下した。これはマーカーの透過性の検討よりtight junctionの透過性が増すことによると結論された。好中球の影響は、fMLTで活性化した好中球の培養上清を胆管細胞の培養液に添加することで検討した。添加後経上皮電気抵抗は非可逆的に低下した。この低下は培養胆管細胞の基質からの剥離を伴っていた。経上皮電気抵抗の低下と胆管細胞の基質からの剥離はα1アンチトリプシンとエラスターゼインヒビターで阻止できた。基質から剥離した胆管細胞は8時間後よりviabilityが低下し、その低下と共に核が分葉化した胆管細胞数が上昇した。12時間後には胆管細胞のDNAは電気泳動でladder formationを示した。以上より、好中球が活性化されるとエラスターゼを分泌し、胆管細胞を基底膜から剥離すると考えられる。その後胆管細胞はアポトーシスに陥る。一方、リンパ球が胆管細胞に対して細胞障害性を有するか今回の検討では結論が出せなかった。マクロファージの阻害物質であるカラゲナンを投与するとリンパ球の浸潤が抑制される。従って、リンパ球浸潤にはマクロファージが必要と考えられる。両者のinteractionを今後検討しなければならない。ヒト原発性硬化性胆管炎の肝組織を見ると浸潤細胞はマクロファージ、好中球、リンパ球であり、基底膜からの胆管細胞の剥離、アポトーシスに陥った胆管細胞を認める。上記の結果はヒト原発性硬化性胆管炎の発生病理に当てはめられると考えられた。
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