研究概要 |
1 肝細胞癌組織中における血管新生因子mRNAの発現 肝細胞癌18例の肝細胞癌組織と非癌部肝組織のRNAを抽出後,b-FGF,VEGF,AngiogeninのcDNAをプローブとしてNorthen Blot Hybridization及びRT-PCR法により,これら血管新生因子mRNAの発現を検討した。血管造影でhypervascularを示した13例で,VEGF,b-FGF,Angiogenin mRNAの発現はそれぞれ8例,6例,3例で非癌部肝組織に比べ肝細胞癌組織で強く認められた。一方,hypovascularであった5例で,それぞれの発現は2例,1例,0例であった。肝細胞癌のサイズ別に検討すると,腫瘍の増大とともにvascularityと血管新生因子mRNAの発現も強く認められる傾向であった。肝細胞癌組織の悪性度別では,高分化型に比べ中心化型症例で血管新生因子mRANの発現が強く認められる傾向であった。Hypovascularであった5症例をRT-PCR法で検討するとそれぞれの発現は,4例,2例,1例とNorthen Blot法に比べ感度が良好であった。 2 肝細胞癌組織中における血管新生因子mRNAの局在 Northen blot HybridizationとRT-PCR法により発現が認められVEGF,b-FGF,AngiogeninのmRNAの局在をIn situ hybridization法でそれぞれを検討した。VEGFは肝細胞癌細胞,血管内皮細胞,胆管上皮に認めら,b-FGFは肝細胞癌細胞,線維芽細胞に認められた。いずれも,肝細胞癌細胞に強く認められた。Angiogeninは今回の検討で肝細胞癌細胞に強く認められなかった。
|