研究課題/領域番号 |
07670586
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金山 周次 大阪大学, 医学部, 助手 (40185913)
|
研究分担者 |
南 武志 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
東本 好文 大阪大学, 医学部, 助手 (60260634)
篠村 泰久 大阪大学, 医学部, 講師 (90162619)
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | 胃癌 / 胃十二指腸潰瘍 / ヘリコバクター・ピロリ / 胃炎 / インターロイキン-1 / hepatocyte growth factor / mRNA / 皺襞腫大 |
研究概要 |
胃癌、胃十二指腸潰瘍、胃炎におけるヘリコバクター感染の役割を明らかにするため以下の検討を行った。 胃体部皺襞幅と胃癌の関連についての症例対照研究 胃体部の皺襞幅と胃癌に関する症例対照研究を行い、皺襞の腫大が胃癌と関連しているか検討した。検診を受診し早期胃癌と診断された59名と、性と年齢をマッチさせた胃癌と診断されなかった対照群236名を対象とし胃二重造影X線フィルムより胃体部の代表的な皺襞の幅をmmの単位で測定した。ヘリコバクター感染率は皺襞幅3mm以下では20%、4mmでは66%、5mm以上では90%以上と皺襞幅5mm以上ではほとんどがヘリコバクター陽性であった。胃癌のオッズ比(95%CI)は4mm以下を1とすると皺襞幅5mmでは7.2(3.2-16.5)、6mmでは10.2(4.1-25.3)、7mm以上では31.2(8.9-108.8)と皺襞幅と胃癌の間に有意な関連が観察された。 ヘリコバクター感染胃粘膜での免疫応答、サイトカイン、増殖因子の産生 胃炎症例の中では胃癌発症が高率である腫大皺襞性胃炎症例では十二指腸潰瘍患者の背景胃炎である皺襞非腫大性のヘリコバクター前庭部胃炎に比し粘膜細胞の増殖が亢進し、増殖期細胞の増加、著明な好中球、リンパ球、マクロファージの浸潤が認められた。著明な酸分泌の抑制とともにインターロイキン-1及びhepatocyte growth factorのmRNA量増加及び分泌亢進が観察された。腫大皺襞性胃炎症例で見られるこれらの変化はヘリコバクターの除菌によりほぼ正常化した。 HPの産生する酸分泌抑制因子 酸分泌抑制因子産生能の菌株による差異がないかHPの培養上清中及び抽出液の酸分泌抑制能を分離襞細胞よりの酸分泌を指標として検討したが、胃癌、胃十二指腸潰瘍、胃炎症例より分離した菌株による差異はみられなかった。 結論:胃体部の皺襞腫大を伴うヘリコバクター胃炎は著明な細胞浸潤、酸分泌の抑制、粘膜細胞の増殖亢進がみられる病態であり、胃癌発症の頻度が高いと考えられる。
|