研究課題/領域番号 |
07670625
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小室 輝昌 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20037386)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1996年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1995年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 腸 / ペースメーカー / カハールの介在細胞 / c-kit / 筋層間神経叢 / 平滑筋 / 微細構造 / 免疫組織化学 / 消化管 / Interstitial Cells of Cajal / ラット / interstitial cells of Cajal / 小腸 / ヴィメンチン / 免疫染色 / 電子顕微鏡 / Interstitialcells of Cajal |
研究概要 |
本研究では、消化管運動ペースメーカー機構に関して、細胞組織学的に検索した。 *平成7年度には、ペースメーカーとして提唱されているカハールの介在細胞(Interstitial CelIs of Cajal;ICC)の細胞学的性格を明らかにするため、古典的染色法との共通性を持つヨウ化アエン-オスミウム酸法(ZIO)を用い、観察をおこなった。(1)その結果、モルモット小腸筋層間神経叢の部位には、神経線維網とは別に、細胞性網状構造を構成する突起を持った多数の細胞を確認した。細胞の形、大きさ、突起の分枝の形状等から、これらのZlO陽性細胞はCaja1の原著のICCに相当すると結論した。(2)同試料のエポキシ樹脂包埋切片による電子頭微鏡的検索では、これらの細胞は線維芽細胞と似た特徴を有し、神経細胞、平滑筋細胞とは異なることが明らかとなった。 *平成8年度には、細胞の発生学的由来を検証するため、ペースメーカーとの密接な関係が示唆されているc-kit receptorの発現の有無、細胞骨格蛋白等について免疫組織化学的に調べた。(3)その結果、モルモット小腸筋層間神経叢には、抗c-Kit抗体(ACK2)、抗ヴィメンチン抗体免疫染色およびZIO染色のいずれにおいても、同一の特徴を有する長い突起を持った多数の細胞が観察された。これらの成果から、この部位のICCはc-kit発現細胞に一致するものであり、ペースメーカー機能を持つものと推定した。また、細胞骨格としてヴィメンチンを多量に含むことから、同細胞は間葉系に由来するものと結論した。 *平成9年度には、c-Kit遺伝子に突然変異をもつWs/Wsラットおよび同腹の正常ラット+/+を用い、消化管各部位におけるc-kit発現細胞の細胞学的検索を通して、ペースメーカー細胞の特性、ICCの異型性等について検討した。その結果、(4)筋層間神経叢のICCは、消化管の部位(胃、小腸、大腸)に拘わらず、共通の微細構造(豊富なミトコンドリア、大きなgap-junctionの形成など)よって特徴ずけられることを確認した。また、これらの細胞はWs/Wsラットでは観察されなかった。(5)一方、小腸の深部筋神経叢及び大腸の筋層下神経叢のICCでは、上記の特徴に加え、基底膜、caveolaeを示したが、この細胞はWs/Wsラットでも観察された。以上の観察結果から、c-Kit発現細胞あるいはICCは細胞学的に不均一な細胞群からなり、ペースメーカーとしては筋層間神経叢のICCが第一義的な役割を持つ一方、その他の部位のICCについては、一層詳細な検索、考察が必要なものと結論した。
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