研究概要 |
慢性の特発性間質性肺炎(特発性肺線維症)と診断された例の中に慢性過敏性肺炎例が含まれている可能性がある.慢性過敏性肺炎には急性エピソードを繰り返しつつ少量の抗原吸入が続くために慢性になる例と、当初より慢性型で発症する例とがある.現在慢性型過敏性肺炎の中でも注目されるのは少数の鳥を室内飼育する際に起こる鳥飼病の慢性型である.鳥飼病の(1)急性型,(2)急性エピソードを持つ慢性型,(3)当初より慢性型の三群でサイトカインを初め炎症のメディエーターをmRNAの発現を含めて比較検討した.1)鳥飼病の診断は,(1),(2)には鳥糞に対する抗体が陽性であることより容易であるが,(3)については一般の測定法では陰性であり部分精製抗原(50%硫酸アンモニウム処理抗原)を用いたIgGとIgAサブクラス抗体でBAL中IgG1,G3,IgA1抗体が弱陽性である.2)末梢血単核球に鳩血清を添加(現在抗原の精製が進行中)してサイトカインなどのmRNAの変化をみると,(1)〜(3)ともIL-2RmRNAの発現増強がある.また末梢血単核球を用いた^3H-Thymidine uptakeによる増殖反応は(1),(2)では全例陽性,(3)でも大部分が陽性であり,(1),(2),(3)とも細胞性免疫の成立が示唆される.3)(2)ではTGFβmRNAの発現増強,(3)ではIL-6mRNAの発現増強がみられる. 以上から,当初より慢性発症で一般的方法による抗体陰性例でも,末梢血単核球を抗原添加して刺激すると,増殖反応を示しIL-2RmRNAとIL-6mRNAの発現増強を認め,細胞性免疫の成立とIL-6が慢性化と関連している可能性が示唆された.
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